この記事の結論
- 多頭飼いには刺激が増える・にぎやかになるといったメリットがある一方、相性を無視すると鳥同士のストレスやケガにつながることがある
- 一般的には同じ種類同士のほうが相性は安定しやすいとされるが、性別の組み合わせや個体差による影響も大きい
- 新しい鳥を迎えたら、まず1羽に1つの別ケージを用意し、数週間は別の部屋で健康状態を観察する期間を設けるのが基本
- 対面させるときは、姿と声を知らせる→ケージを近づける→同じ部屋での放鳥、と段階を踏んで慣らしていく
- 縄張り意識や攻撃行動のサインが見られたら無理をせず、ケージを分けたまま暮らす選択肢も普通にある
1羽の暮らしにも慣れてくると、「もう1羽迎えたら、もっとにぎやかになるかもしれない」と考える飼い主は少なくないようです。
ですが、鳥同士の相性は人間の目算どおりにいくとは限りません。
この記事では、多頭飼いを検討する前に知っておきたい種類・性別による相性の傾向、新しい鳥を迎える際の馴染ませ方、多頭飼いならではの注意点を、飼育書や獣医監修情報をもとに整理します。
すでに1羽と暮らしている人が、次の一歩を考える際の参考になれば幸いです。
1. 多頭飼いを考えるようになるきっかけとメリット
多頭飼いを検討するきっかけはさまざまです。
先住の鳥の刺激になればという期待、留守番の時間が長くなりがちな家庭での寂しさ対策、単純に鳥同士がじゃれあう様子を見てみたいという気持ちなど、理由は人によって異なります。
実際に相性が合えば、鳥同士で羽づくろいをし合ったり、一緒に遊んだりする様子が見られることもあるとされています。
1羽のときとは違うにぎやかさが暮らしに加わるのも、多頭飼いの魅力のひとつです。
ただし、相性を無視した安易な多頭飼いは、鳥同士のストレスやケガにつながることがあります。
「増やせば増やすほどにぎやかになる」という単純な話ではなく、種類・性別・個体差による相性の傾向を踏まえたうえで、時間をかけて判断していく必要があります。
2. 種類・性別による相性の傾向
同じ種類同士か、違う種類同士か
セキセイインコ・オカメインコ・文鳥・カナリアといった種類の違いを整理した記事でも触れたとおり、種類によって体格や鳴き声、行動パターンは大きく異なります。
一般的には、体格や生活リズムが近い同じ種類同士のほうが、コミュニケーションが取りやすく相性が安定しやすいとされています。
一方で、セキセイインコとオカメインコのように体格差が大きい組み合わせでは、力加減がわからず本気で威嚇し合ってしまうと、体格の小さいほうがケガをするリスクが高まるとされます。
異なる種類同士を迎える場合は、この体格差によるリスクをとくに意識しておく必要があります。

性別の組み合わせによる傾向
性別の組み合わせによっても、相性の傾向は変わってくるとされています。
オス同士は縄張り意識から攻撃的になりやすいという傾向が飼育書などでよく挙げられます。
メス同士は比較的落ち着いた関係を築きやすいとされる一方、こちらも個体差が大きく、一概には言えません。
オスとメスの組み合わせはペアとして仲良くなりやすい反面、繁殖に発展する可能性があるため、産卵管理や巣引きをする・しないの方針を事前に考えておく必要があります。
性成熟にともなう変化
幼鳥のうちは仲良く過ごしていた組み合わせでも、成長して性成熟の時期を迎えると、縄張り意識が急に強くなることがあるとされています。
これまで問題なかった関係が、ある時期を境に変化する可能性があることは、あらかじめ知っておきたいポイントです。
3. 新しい鳥を迎える前に準備しておきたいこと
先住の鳥の性格・年齢・健康状態を考慮する
新しい鳥を迎える前に、まず先住の鳥自身の性格や年齢、健康状態を見直しておくことが大切です。
神経質な性格の鳥や、すでに高齢・持病がある鳥にとっては、新しい同居鳥の存在自体が大きなストレスになることもあります。
先住の鳥が新しい環境の変化に耐えられそうかどうかを、まず冷静に見極めることが多頭飼いを検討する最初のステップです。
1羽に1つ、別々のケージを用意する
ケージの選び方を整理した記事でも触れたとおり、ケージ選びは1羽ごとに考えるのが基本です。
相性が良さそうに見えても、最初から同じケージで飼うのではなく、1羽に1つ、それぞれ専用のケージを用意しておくことが多頭飼いの前提になります。
同じケージで暮らせるかどうかは、時間をかけて様子を見てから判断するものであり、最初から一緒にする前提で準備を進めないことが重要です。

数週間は別室で健康状態を観察する
新しく迎えた鳥は、見た目が元気そうでも、感染症や寄生虫を持っている可能性がゼロではありません。
先住の鳥と対面させる前に、数週間は別の部屋で健康状態を観察する期間(検疫期間)を設けるのが基本とされています。
この期間中に食欲やフンの状態、呼吸の様子などを確認し、気になる点があれば動物病院に相談してから対面のステップに進みます。
「元気そうだから大丈夫」と自己判断で観察期間を省略しないことが、先住の鳥を守ることにもつながります。

4. 少しずつ慣らしていくステップ
観察期間中は姿・声だけを知らせる
健康観察の期間中でも、隣の部屋から聞こえる鳴き声や物音を通じて、お互いの存在を少しずつ知らせていくことはできます。
いきなり顔を合わせるのではなく、まずは気配だけに慣れてもらう段階です。
ケージを近づけて様子を見る
観察期間を終えて健康状態に問題がなければ、次はそれぞれのケージに入れたまま、少し離した位置に並べてみます。
一気に距離を縮めず、鳥の反応を見ながら段階を進めることが大切です。
威嚇する・警戒して固まる・興味を示して近づこうとするなど、反応は鳥によってさまざまです。
ケージ越しに落ち着いて過ごせるようになってきたら、少しずつ距離を縮めていきます。
同じ部屋での放鳥を短時間から試す
ケージ越しに落ち着いて過ごせるようになったら、同じ部屋での放鳥を短時間から試してみます。
最初はケージを近くに置いたまま、それぞれの鳥が自由に距離を取れる状態にしておくのがポイントです。
ここでも、すぐに同じケージにまとめようとしないことが重要です。
放鳥中に落ち着いて過ごせる時間が積み重なってから、同じケージで過ごせるかどうかを検討する、という順序を守ります。

5. 多頭飼いならではの注意点
縄張り意識と攻撃行動のサイン
多頭飼いでは、縄張り意識からくる攻撃行動に注意が必要です。
追いかけ回す、しつこく威嚇する、相手の羽をむしろうとするといった行動が見られたら、相性がうまく合っていないサインとされています。
威嚇や攻撃行動が続く場合は、無理に同じ空間で過ごさせず、すぐにケージを離してください。
ケガに発展する前に距離を戻すことが最優先です。
出血や明らかな外傷が見られる場合は、様子見をせずすぐに動物病院に連絡してください。
エサ・水場の取り合いを防ぐ工夫
同じ部屋で放鳥する時間が増えてくると、エサ入れや水入れをめぐって取り合いが起きることもあります。
それぞれの鳥に専用のエサ入れ・水入れを用意し、離れた位置に設置しておくと、取り合いによるストレスを減らせます。

感染症・寄生虫のリスクにも注意
多頭飼いになると、1羽が体調を崩したときに、もう1羽にも影響が及ぶ可能性が出てきます。
健康チェックの方法を整理した記事で紹介した日々の観察は、多頭飼いになるとより重要性が増します。
一方の鳥に体調不良のサインが見られたら、念のためもう一方のケージも離しておくといった対応も検討したいところです。
6. 相性が合わないときの考え方
ここまでの段階を踏んでも、どうしても相性が合わない鳥同士は一定数いるとされています。
無理に同じケージにする必要はありません。
それぞれのケージを別の場所に置いたまま、同じ部屋で気配を感じながら暮らす、という共存の形も普通にあります。
「一緒のケージで飼えること」がゴールではなく、それぞれの鳥が安心して過ごせることを優先するという考え方を持っておくと、無理に距離を縮めようとして焦らずに済みます。
時間をかけても関係が変わらない場合は、それぞれ別の部屋で過ごす時間を長めに取るなど、鳥の様子に合わせて距離感を調整し続ける姿勢が求められます。
7. まとめ
多頭飼いは、相性を見極めながら時間をかけて段階を踏むことが前提になります。
別ケージでの健康観察から始め、ケージを近づける、同じ部屋で放鳥する、という順序を守ることが、鳥同士のトラブルを避ける近道です。
- 種類・性別による相性の傾向について、なんとなくイメージが持てている
- 新しい鳥を迎えたら、まず別ケージ・別室での健康観察期間を設ける必要があることの見当がついている
- 対面までの段階(姿と声→ケージを近づける→同じ部屋での放鳥)を踏まえずにいきなり一緒にしないと決めている
- 威嚇や攻撃行動のサインに気づいたら、すぐに距離を戻す準備ができている
- 相性が合わなければケージを分けたまま暮らす選択肢もある、と納得できている
多頭飼いは、うまくいけば暮らしがよりにぎやかで楽しいものになりますが、必ずしもすべての鳥同士がすぐに仲良くなるわけではありません。
焦らず、それぞれの鳥のペースに合わせて段階を進めていく姿勢が、結果的に一番の近道になるはずです。
今日のアクション
- 新しい鳥を迎える場合に備えて、もう1つケージを置けるスペースが家にあるか確認しておく
- 先住の鳥の性格や年齢、健康状態をあらためて見直しておく
- 迎えた先や、かかりつけの動物病院に健康観察期間の目安を相談できる窓口を確認しておく
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